安心して住める日々の環境を提供したい「私は長屋のようなマンションのおせっかい大家さん」

 こんにちは、一般社団法人おせっかい協会です。今回は、おせっかいコンテスト2024エピソード部門優秀賞を受賞した、飯塚信子さんの作品「私は長屋のようなマンションのおせっかい大家(おおや)さん」についてのご紹介です。

おせっかいエピソード部門優秀賞「私は長屋のようなマンションのおせっかい大家(おおや)さん」

1.オーナーをしているマンションの住人ご家族のお母様が亡くなった際の出来事

 私は、札幌市内で賃貸マンションのオーナーをしていて、そのマンションの一室に単身で住んでいます。2022年の1月、お隣りに住んでいるご姉妹(私の息子と同年代)が喪服を着て慌ただしくしていたので、嫌な予感がしてお声を掛けさせてもらうと、お母さんがお亡くなりになりお葬式を終えて帰ってきたところでした。

お話しを聞くと、数日前に入院していたお母さんをお部屋に連れて帰ってきてあげて、姉妹で最期を看取ったとのことでした。お母さんは私よりいくつか上の年齢です。

オーナーをしているマンションの住人ご家族の、お母様が亡くなった際の出来事
オーナーをしているマンションの住人ご家族の、お母様が亡くなった際の出来事

 お話しをしているうちに、妹さんが泣きながら、「信子さん、私ひとりぼっちになっちゃった。これからどうやって生きていったらいいかわからない。私、もうここには住めない。数カ月したら出て行かないと・・・」と声を詰まらせながら言うので、肩を抱いて「そのお話しはあらためて聞くからね。先ずはお線香をあげさせてね」と言って、翌日お線香を手向けさせていただきました。初めてお部屋に入らせていただき驚きました。

2.シングルマザーで苦労して娘さんを育てたお母さんは20年以上も驚くほど綺麗に住んでくださっていた

お隣りさんはシングルマザーでお母さんが娘さん二人を苦労して育てたそうです。私のマンションに20年以上住んでいます。私たち夫婦がマンションのオーナーになる前から住んでくださっています。20年以上住んでいるとは思えないくらいきれいに住んでくださっていたのです。そう言えば、お母さんはきれい好きで、いつも玄関周りや階段周りを掃除してくださっていました。2DKのお部屋を工夫してきれいに住んでくださっていることに私は感動しました。

シングルマザーで苦労して娘さんを育てたお母さんは20年以上も驚くほど綺麗に住んでくださっていた
シングルマザーで苦労して娘さんを育てたお母さんは20年以上も驚くほど綺麗に住んでくださっていた

3.思い出の場所に住み続けたいが家賃が払えないという妹さん。5万円だった家賃を2万円に

 2022年1月当時は、二人の娘さんの妹さんとお母さんの二人で住んでいて、お姉さんは東京で仕事をしているとのことでした。今現在もその事情は変わりません。お母さんが亡くなると、お母さんの年金収入などが入らなくなり、家賃が払えなくなるので引っ越しをしなければならないとのことでした。妹さんは非正規で働いているので、収入もそれほど多くないとのこと。でも出来ればお母さんとの想い出のつまった部屋にずっと住みたい、と。お母さんと姉妹の3人で暮らした思い出の場所ですから。

 いろいろと考えましたが、それまでは5万円いただいていた家賃を2万円にしてあげることにしました。理由は、それまで20年間5万円の家賃をいただいていたので、総額で1200万円の家賃をいただいたことになります(前のオーナーさんの分も含めて)。ここ札幌では1200万円あれば中古のマンションを購入することができます。そう思ったとき、妹さんが払える金額で良い、と思ったのです。

思い出の場所に住み続けたいが家賃が払えないという妹さん。5万円だった家賃を2万円に
思い出の場所に住み続けたいが家賃が払えないという妹さん。5万円だった家賃を2万円に

4.家賃を変える条件は月に一度の食事と近況報告。息子より少し年下の妹さんを放っておけないというおせっかいな気持ち

 2万円という金額を提示した時、さすがに驚いていました。「お母さんには充分に家賃をいただきました。そしてこんなにきれいに住んでくれているからお礼の意味もあるのよ」と言うのと同時に、2万円にする条件を提示しました。

その条件は「あなたが一人でお母さんと住んだこの部屋に一人で住んでいる間は、ずっと2万円でいいよ。でも、彼氏ができて同棲するとか、結婚してもしばらくここに住むのならば、元の金額に戻させてね。あるいは正規のフルタイムの仕事に就いた時には少し上げさせてね。そして、1ケ月に一度くらいは信子さんと一緒に食事をして近況を知らせてね」というものです。

妹さんは私の一人息子より数歳下の年齢なので、自分の子供が同じような境遇になったら、と思ったら放っておけなかったのです。それから1ケ月に一度くらいは一緒に食事をしています。近況を聞いたり、お姉さんのことを聞いたり、彼氏はまだいないの?と聞いたりしながら。

家賃を変える条件は月に一度の食事と近況報告。息子より少し年下の妹さんを放っておけないというおせっかいな気持ち
家賃を変える条件は月に一度の食事と近況報告。息子より少し年下の妹さんを放っておけないというおせっかいな気持ち

5.不動産賃貸業は空間を貸すだけのビジネスではない。地域密着型の長屋のような「おせっかい大家さん」であり続けたい

5万円の家賃を2万円にしてあげることが良かったかどうかはわかりません。ただ妹さんを放っておくことはできなかったのです。住む家がなくなる、というのはどれほど不安なのか私には想像すらつきません。彼女がここに住みたいと思う間は住んでもらいたいと思っています。お姉さんも実家のように帰る場所があった方が良いでしょうし。

不動産賃貸業は空間を貸すだけのビジネスではない。地域密着型の長屋のような「おせっかい大家さん」であり続けたい
不動産賃貸業は空間を貸すだけのビジネスではない。地域密着型の長屋のような「おせっかい大家さん」であり続けたい

 私は、不動産賃貸業とは、ただ住むための空間を貸すだけのビジネスだとは思っていません。ここに住んで良かった、と思って欲しい。安心して住める日々の環境を提供したいと思っています。そのためには、かなり入居者さんの私生活にも踏み込んだお付き合いをさせていただいています。地域密着型の長屋のような賃貸経営を続けていきたい、そして私はそこの「おせっかい大家さん」であり続けたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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